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【コラム22】 急がば回れ

業務プロセスのヒヤリングを実施している時、とても気になる点があります。それは、業務を実施する上での「責任と権限」が意外と不明確だということです。

「決裁権限者は、どなたですか?」とお聞きすると、「社内規程上ではA専務だけど、実際に決裁しているのはB部長だと思います。」とか「ISO上ではC部長だけど、実際、決裁はしてないと思いますよ。確認だけでしょう。」といった回答が返ってくることがよくあります。

決済権限者が不明確なままでは業部フロー図などは作成できません。結局実務担当者の方を呼んでいただき、書類の提出ルートを確認することになります。最終的には、どうにか権限者に行き当たり一件落着となりますが、それに要する時間と労力はかなりのものです。運用期限がそこまで迫っているのに「この時間がもったいない。」と思うこともしばしばです。

「責任と権限」が不明確な業務には、必ずや何らかのリスクが潜んでいます。例えば、皆さんのご家庭の冷蔵庫の食品の賞味期限は誰が管理していますか?お父さんですか?お母さんですか?誰も管理しなければお子さんがお腹をこわすかもしれません。でも、(期限切れの食品を食べることを含めて?)処分するのは「お母さん」というように「責任と権限」を明確にしておけば、そんなことにはならないでしょう。

内部統制とは、特別に管理手段を付加することではありません。普段通りの業務プロセスがそのまま統制になっているべきだと思います。形だけで内容を伴わないシステムの構築は通用しません。まわり道のように感じるかもしれませんが、「責任と権限」についてきちんと棚卸をして、実務に整合させることをお勧めします。

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