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第二回 内部通報制度の体制整備

みなさん、こんにちは。

昨年6月に施行されました改正公益通報者保護法により、従業員301人以上の事業者には、内部通報に対応するための体制整備が義務付けられ(従業員300人以下の事業者は努力義務)、多くの対象事業者様は既に対応が済んでいることと思われます。内部通報制度コラム第2回は、この「内部通報制度の体制整備」についてお話しします。

法改正を受けて、消費者庁から公益通報者保護法に基づく指針および同指針の考え方が公表され、事業者に求められる体制整備内容が具体例とともに示されています。

指針において、「内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。」と記されており、通報受付窓口を設けるともに、受付、調査、是正の実務を担う部署と責任者を定めることが求められています。

通報受付窓口は、社内に設置するケースが一般的でしょう。しかし、必ずしも社内設置に限定されているわけではなく、例えば、親会社に窓口を設ける、あるいは専門事業者に業務委託する等、外部に設けることも認められています。

もっとも、被通報者が窓口関係者である場合等の利益相反問題の発生も考慮し、社内窓口と外部窓口を併用する等、複数の通報窓口の整備が理想的でしょう。また、例えば、法令違反にかかる通報とハラスメントにかかる相談等、事案の類型によって窓口を分ける方法も考えられます。この辺りは指針の解説にも触れられていませんが、事案の類型によって窓口を分けることは業務の効率化や通報や相談の精緻な対応に有効であると考えられます。

このように、通報窓口の整備ひとつとっても通報実態等によって多様な体制が考えられますので、自社の事情を考慮した上で、事業者様に見合った体制に整備することが肝要でしょう。

次に、受付、調査、是正を担う部署、責任者について考えてみましょう。受付は通報窓口となる部署や組織が担うことが一般的です。よく見受けられるケースが、社内コンプライアンス部門が通報窓口及び受付を担うケースです。また、前述の複数窓口化の観点から、合わせて人事部門や監査部門で通報や相談を受け付ける場合もしばしば見受けられます。いずれにせよ、窓口担当者が通報等を受け付け、責任者とともに通報等の内容を一次的に評価することになります。ちなみにISO37002(内部通報マネジメントシステム指針)では、「トリアージ」と称するリスク評価及び優先順位付けについての評価を行うことが推奨されています。

続いて調査についてですが、調査を担う部署は次の是正を担う部署と同様、固定的な部署で担う場合と、一時的に編成された部署で担う場合が想定されます。固定的な部署で担う場合とは、例えば、受付を担うコンプライアンス部署が通報の受け付け後、引き続いて調査を担うケース等が考えられます。また、ある程度規模の大きい事業者様であれば、あらかじめ存在する内部監査部署や調査部署が調査を担うケースもあるでしょう。

固定的な部署で調査を担うメリットは、その部署の本業務の一環として調査が実施されるため、調査に手慣れていることが挙げられます。半面、被調査側の視点では、普段の業務上で接点のない部署からの調査ということで、警戒感の発生等により、調査対象者から十分な情報を引き出せないことが考えられます。

一方で、一時的な部署による調査、例えば、調査対象者の属する事業所の長が一時的に編成する調査チームによる調査等は、日頃から調査対象と近い関係が築かれていることにより、スムーズな調査(ヒアリング)が可能になるかもしれません。半面、本業務とは別の臨時業務となるため、調査業務における秘密保持義務の徹底等が十分に浸透されない懸念も残ります。この点、法令における罰則規定により秘密漏洩の防止が担保されていますが、より実効性を高めるためには、特に通報対応業務を担う者に対する教育・研修が重要であると言えるでしょう。

補足をしますと、法令における罰則の対象者は通報対応業務を行い、かつ通報者を知らされている者です。この者は法令上従事者として定める必要があり、その際、当人が従事者であることが確実に認識できるよう書面等により明確にしなければなりません。よって、本業務で通報対応を行う者のみならず、一時的な調査業務等、兼業務で通報対応業務に従事する場合であっても、法令上の従事者指定が必要になる場合があることに注意が必要です。

調査を経て、法令違反やハラスメントの実在等、通報が事実であった場合の対処、すなわち是正措置を担う部署も調査同様、固定的部署と一時的部署が担う可能性があります。例えば、懲戒処分については人事部門等が担うことが考えられ、また、重大な事案においては経営層が中心の是正チームが編成される場合も考えられます。更に案件によっては一時的に編成された是正チームによる措置に留まらず、継続監視等、永続的な是正措置が必要な場合もあるでしょう。要するに、通報受付から是正まで、通報状況や各事業者様の事情に応じた部署の整備が必要になるということです。

更に、全てのプロセス(部署)において、法令上責任者を明確にすることも求められていますので、こちらも順守しなければなりませんね。

以上、「内部通報制度の体制整備」について、法令義務の観点から解説しました。

次回3回目のテーマは「リーダーシップ」を予定しています。内部通報制度の有効性向上に寄与する重要なテーマになりますので引き続きご購読をよろしくお願いします。

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