消費者政策の大転換と新たな企業リスクセミナー
日時:2009年10月28日
会場:ペリージョンソン コンサルティング 株式会社
東京本社セミナールーム(東京都渋谷区)
10月28日にPJC東京本社で開催した、「消費者政策の大転換と新たな企業リスクセミナー」のリポートです。消費者庁の設置や政権交代などが企業にもたらす「未来型リスク」と、必要な対応についてご説明しました。早くから予約で満席となり、お客様の関心の高さがうかがわれました。
PJCは、社会の変化やお客様のニーズを踏まえて、常に時宜にかなったセミナーを行うように努めております。このリポートでお伝えする「消費者政策の大転換と新たな企業リスクセミナー」も、消費者庁の設置や政権交代などを受けて、新たに開催いたしました。

このセミナーは、CSR(企業の社会的責任)に関するコンサルティングのご契約をいただいている上場企業様からの、「企業グループ内部統制の確立」「子会社特有のリスクの洗い出し」「今年度対応すべきリスクの洗い出し」「独自のコンプライアンスの実現」の4つを達成したい、という実際のご依頼をきっかけに企画したものです。
グループ企業における内部統制の難しさを理解し、子会社には特有のリスクが存在することを認識しておられる経営層の方は、まだ多くありません。その意味で、このお客様の取り組みは先進的なものといえます。しかし、日本の社会の変化が速度を増していることを考えると、同様の取り組みがあらゆる企業に求められる時代は、もはや目前に迫っていると考えなければなりません。
そこで、このお客様にコンサルティングを行うに当たってまとめた資料に、消費者庁の設置や政権交代などについての情報も盛り込み、「事業者優先の行政から消費者主権の行政への大きな哲学の転換」として編集することにしました。

消費者庁設置・消費者政策のグローバル化・政権交代・働く人の意識の変化・法化社会などが企業にもたらす、今までの常識が通用しないリスクを、PJCは「未来型リスク」と定義しています。この「未来型リスク」について、編集した資料をもとにご説明していくことが、今回の目的です。
まず、消費者庁の設置に象徴される「消費者行政の大転換」についてお話ししました。長らく「縦割り」で行われてきた日本の消費者政策が消費者庁に集約されつつあることは、報道などでご存知かと思います。消費者庁所管となった法令をみると、消費者基本法を始め、景品表示法・個人情報保護法・食品衛生法・製造物責任法・特定商取引法などの重要法令がずらりと並び、壮観です。
消費者庁は、これまで各省庁が行ってきたような「事後対応・段階的対応」ではなく、「即時対応・予防対応」の実現を目指しています。消費者に関係する法律の制定・改正も進んでおり、景品表示法や消費者安全法を見ると、「作る人のための法律」から「買う人のための法律」への転換が図られていることが分かります。
一酸化炭素中毒事故を引き起こした湯沸かし器メーカーの社長らが業務上過失致死傷罪に問われたり、グレーゾーン金利制限で消費者金融業界が大きな打撃を受けたりと、近年は司法の分野でも消費者の権利を重視した判断が目立つようになってきました。
事業者を十分に規制しなかったとして、国の賠償責任を認めた「大和都市管財事件」控訴審判決などの影響もあり、今後は国の対応もより厳しくなることが予想されます。「今まで大丈夫だったから」という理屈では、もう企業を守ることはできません。

次に、こうした転換をさらに加速・強化している、2つの要素についてお話ししました。「消費者政策のグローバル化」と「政権交代」です。
OECD(経済協力開発機構)は、2007年頃から加盟国に対して、消費者の視点を重視した消費者行政を行うよう勧告しています。EUでは食品の安全性を確保するための規則が強化されました。
また、近年は消費者行政に行動経済学を導入し、「消費者はときに非合理的な行動をする」ことを前提とすべきであるという考え方も世界的に広まっています。
こうした世界の流れは、日本にも影響を与えつつあります。
国内の動きとしては、政権交代が重要です。民主党のマニフェストには、「消費者に危害を及ぼすおそれのある製品・物品等に関する情報の公開を企業に義務づける『危険情報公表法』を制定する」といった、消費者の保護を強く意識した項目が並んでいます。
民主党は消費者庁設置法案などに関連して、厳しい内容の附帯決議を多く提案しており、これらも順次法制化が進められることになるでしょう。
続いて、「働く人の意識の変化」と「法化社会」についてお話ししました。
特に、働く人の意識の変化は目覚ましく、「いくら法令が厳しくなっても、多少の不正は問題にならないだろう」「社内のことだから、ばれないだろう」という考えはもう通用しない時代になっていることを、さまざまな調査が数字で示しています。
内部告発の件数が年々増えているのも、その一つです。公益通報者保護法に基づく公益通報は、年に5000件を超えています。
内閣府国民生活局の調査では、「職場での違反行為を通報する」と答えた一般職は6割近くにのぼり、管理職ではそれを上回りました。
内部告発によって不正が発覚すると、社会の目は特に厳しくなります。法化社会での不正は、刑事罰や損害賠償によって償わなければなりません。組織と役員を守るためには、「未来型リスク」に対応したリスクアセスメントが欠かせないのです。
最後に、これらの「未来型リスク」に対応するための、PJCの提案をご紹介しました。PJCは、「未来型リスク」に対応するといっても、全く未知のマネジメントシステムを導入したり、1から作り直したりすることはおすすめしません。費用対効果の見合わない対策を導入しようとしても、現場には定着しないからです。
「あるものは利用し、ないものだけ作る」というのが、コンサルティングにおけるPJCの方針です。既存の内部統制システムやISO9001、あるいはCOSOフレームワークなどに「未来型リスク」のアセスメントを追加し、まずは現場対応から始めることを提案しました。
消費者のクレームをもとにリスクを洗い出す方法では過去のリスクにしか対応できません。本当に備えなければならない「未来型リスク」は、正しい情報と知識に基づく分析によってしか洗い出せないのです。
今後も、「未来型リスク」を増大させるような法令の改正が予定されています。組織を改善する「攻め」のマネジメントシステムと、組織・役員の訴訟リスクを軽減する「守り」のロジックの構築を、確実に進めていただきたいと思います。
もし、情報の不足をお感じになりましたら、PJCにお気軽にご相談ください。
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