公益目的事業とは何でしょうか。今さらと思われるかもしれませんが、2008年12月1日以降は、現行の指導監督基準の「民間(営利企業)と競合してはいけない」という条件がなくなり、公益認定等ガイドラインに沿った事業の種類や区分になります。従って、法人税法施行令で定められている収益事業の範囲(34事業)の種類の事業であっても公益目的事業と見なされれば、収益事業から除外され、法人税は課税されません。従来は、民法34条法人であってもこの収益事業の範囲に該当する事業は、法人税が課税されていたわけです。この意味するところは何かをもう一度考えることが大切だと思います。
従来、公益目的事業と収益事業との区分は、事業の種類で形式的に判断されていましたが、今後は実態で判断するという、判断基準の変更なのです。
実態で判断し、「民間(営利企業)と競合してもいい」とは、事業の質を問われるということです。公益目的事業の質とは何でしょうか。例えば、食の安全を守るために食材の残留農薬の検査を民間(営利企業)が1回しか行わないところを公益目的事業では複数回行う、そのためにコストがかかり利益が出にくい、従って法人税を優遇した公益法人でないと成り立ちにくいといったようなロジックが成立するということです。
公益認定法第2条の別表の23の種類の事業は、何らかの形でこの種類に入るようにある程度抽象的に記載されています。現在行っている事業あるいは今後行う公益目的事業について、この種類の事業として合理的な説明をつけることはそんなに無理なことではありません。むしろ、その事業の目的が公益として成立するのかが重要なことです。それには、現在行っている事業の見直しが必要です。
1949年(昭和24年)に私立学校法、1951年(昭和26年)に社会福祉事業法及び宗教法人法が公布され、現在の民法34条法人の枠組みが明確になりました。この時期に設立された民法34条法人の中には、社会環境が変化している現在も、当時の事業目的をそのまま定款に記載し事業を行っている例があります。その事業が現在の社会環境に合致している場合は問題ありませんが、そうでない場合はそもそもの存在意義が問われます。
民間(営利企業)であれば、創業から何十年も経過する過程で市場ニーズの変化や競合との競争の結果中核事業が創業時から様変わりしたり、そうでなくてもその時々に合った形で事業内容を変更したりしています。公益法人の場合は、残念ながらこのような機会がないため、事業目的が現状に合っていなくても温存されてきています。それが、今回、機関設計や内部統治(ガバナンス)・内部統制などと一緒に事業の見直しを行わなければならず、かつ猶予措置がないハードランディングであることが、法人の理事や事務局の皆様の混乱を招いている原因です。
何から手を付けていいかわからないと相談されることが多くありますが、まずは、根本である、今後の中核事業は何を行っていくのか、その事業は公益目的事業なのか、そのような事業の柱はいくつ設定するのか、といった将来のビジョンのデザイン(構想設計)を明確にすることです。
その上で、それが成立するのか、公益目的事業比率や収支相償、遊休財産額などは妥当な数字になっているかをシミュレーションし、関連する事業をどの程度までひとくくりにするかを判断します。
それから、最終的に定款の変更や申請書の作成を行います。将来のビジョンのデザインを明確にしないまま付け焼刃で定款の変更や申請書の作成を行った場合は、公益法人として認定を得られたとしても、維持することが困難となり、認定を取り消されかねません。
少人数で運営していたところに、制度改革で様々な変更を迫られて、対応に苦慮されている法人様が多いようです。PJCは、今まで多くの中小企業や社団法人・財団法人の現場に特化した様々な支援を行ってきた立場から、現場の皆様が無理なく移行できるように、今後も有益な情報をお知らせできればと思っています。お困りのことがございましたら遠慮なくご相談ください。
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